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木村彩子「部屋の中 部屋の外」

LOKO GALLERY(東京都渋谷区鶯谷町)

会期:2019年9月3日(火)〜9月28日(土)

 

油彩画ということを忘れてしまう

水彩のような透明感を持つ淡い色彩で描かれています。

 

時が止まったように静止した風景

静止と言っても画面に張り付いた固着した感じはなく、耳を澄ませばかすかな風の揺らめきが感じられそうな雰囲気があります。

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植物の風景

自分の目が淡い色彩の調子に馴染んでくると、最初は平面的に見えていた画面に徐々に奥行きが生まれていくのが分かり、予想していなかった見え方の変化に驚きました。

そうやってじっくり見ていると、柔らかい色彩の層が生み出す繊細なグラデーションを感じることができます。

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室内から見た風景を描いたこの作品は、空気の流れという「動き」の要素が感じられて、他の作品とは少し違った印象を受けました。

外からの風が室内に柔らかく吹いてくる、日常の何気ないひと時を思い起こさせます。

 

作品の静かな世界と少しだけつながった時、自分の中にその静けさが入り込んでとても穏やかな気持ちになりました。

 

JUGEMテーマ:展覧会

author:きちきち, category:ギャラリー, 14:04
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武田鉄平 個展「Paintings of Painting」

MAHO KUBOTA GALLERY(東京都渋谷区神宮前)

会期:2019年9月3日(火)〜10月12日(土)

 

作品を一言でいうと「肖像画」ですが、作品を目の前にして感じる印象はもっと複雑で、様々なことを考えさせられました。

 

「絵画をみる」ことについて。

作品をwebや印刷物という2次元で見て実物のタッチや質感を「想像」する。

絵具のボリューム感と力強いタッチが印象的だと思う。

そして、画廊を訪れて3次元の実物を見て「想像」とのギャップに戸惑う。

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想像していた物質としての絵具のボリュームや凹凸はそこにはなく、そう見えるように完璧に「描かれて」いる。

 

完全に自分の目が騙されていたことが分かっても、そこには存在しない絵具の厚みやタッチの凹凸を無意識に探し求めてしまう。

それは2次元の平面上で3次元のものを見ることが当たり前になっている日常の、その習慣からほとんど条件反射のように身についている行為なのかもしれない。

 

そのように思い至ったとき、なぜこのような描き方をするのか、とても気になりました。

まるで、PCやスマホの2次元の平面に写し出された3次元のものを見ている行為そのものを絵画で再現しているようにも思えます。

この作品に描かれているように描かれた絵画がどこかに存在していて、それを平面のフィルターをとおして眺めているような、そんな錯覚に陥ります。

 

「人物画」であることについて。

顔の描き方がとても独特で、大量の絵の具で塗りつぶされ、目鼻立ちなど顔の造作を認識できる要素はほとんどありません。、

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それでも、これらの作品を見て人物を描いていると「思う」のは何故だろう?

 

描かれている人物の形体は、広告媒体で目にするスタイリッシュなモデルを連想させます。

 

日常に溢れる画像のイメージ、視覚で捉えた情報をほとんど無意識のうちに大量に取り込み、記憶のなかに蓄積しているのかもしれないと思う。

作品に現れている「かたち」は、その蓄積された膨大な視覚イメージを刺激する。そして、自分の記憶と作品の形体を照らし合わせて、それが人物を描いていると「思う」。

 

かなり飛躍した考えですが、人物に関する知覚イメージが全く異なる社会ではこの作品に描かれているのは「人物」と認識されない可能性もある?この先50年後・100年後、(あり得ないけれど、例えば)過去の時代とか。。

 

この展示を見て「見えている」とはどういうことか、「何を」見ているのかという問いが生まれました。

そのもやもやした思いをなんとか言葉にしてみましたが、まだ何か掴みきれていないものがあると感じています。

とても魅力的な作品で、今後も注目していきたいです。

author:きちきち, category:ギャラリー, 22:21
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セブ・ジャニアック「Unseen」

The Mass(東京都渋谷区神宮前)

会期:2019年6月29日(土)〜7月28日(日)

 

フランスを拠点に活動する写真家、Seb Janiak(セブ・ジャニアック)の日本初個展。

 

3つの独立した展示空間で4つのシリーズ「The Kingdom」「Mimesis」「Liquid」「Magnetic Radiation」を見ることができます。

 

どのように制作しているのか想像が難しいのですが、デジタルの色補正や特殊効果加工などは行わずアナログ写真の技術(⼆重露光、重ね焼き、フォトモンタージュなど)で制作されているそうです。

 

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「The Kingdom」は『チベット死者の書』から着想を得て制作されたシリーズ。

雲のスケールに圧倒されます。広大な雲のトンネルの先から光が差し込み、そこへ吸い込まれていくような感覚。

人間の身体で知覚できる感覚を超えた異次元の空間が目の前に広がっています。

背筋がぞっとするような怖さも感じて、人間が死後最初に見る世界はこんなところなのかもしれないなと思いながら眺めていました。

 

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「Mimesis」は言葉の意味では⽣物が天敵や⼈間から身を隠す際のカモフラージュ(擬態)のこと。

 

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蝶と昆虫が美しい花と見紛うような姿になっています。

植物と昆虫どちらが擬態しているのか分からない、植物なのか生物なのかも判然としない不思議な何か。

色彩のはっきりとした鮮やかさに生命を感じながらも、生きていないようにも見える、曖昧で不確かな存在。

 

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最後に観たのは「Magnetic Radiation」と「Liquid」。

理系全般が苦手な自分は、被写体についての理論的なことがよく理解できないため説明できないのですが、液体や空気を素材に物理や化学の原理(法則?)的なものを可視化しているようです。

難しいことは分かりませんが、被写体は精密なガラス工芸作品のように美しい形をしています。

 

テーマの幅が広くそれぞれのシリーズが面白い。不思議で謎めいた作品は観ていて飽きない魅力があります。

 

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author:きちきち, category:ギャラリー, 14:49
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「Writing is Painting」リカルド・ゴンザレス

hgprp GALLERY TOKYO(東京都港区南青山)

会期:2019年6月28日(金)〜8月3日(土)

 

メキシコ出身、ニューヨーク在住のグラフィックデザイナー、アーティスト Ricardo Gonzalez(リカルド・ゴンザレス)の個展。

 

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文字を繰り返し並べて矩形や円を描いています。


配色は力強い印象ですが、その中に落ち着きや静かな雰囲気が混ざっているように思えて、そこに興味を持ちました。
グラフィティを連想させる作風で、そういう意味では強い日差しと都市の汚れた空気や埃っぽさを感じることもできます。

 

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暗闇に浮かぶ円や矩形、文字から滴り落ちる絵具が心をざわつかせます。
 

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心がざわざわするのは絵具の滴りに言葉からこぼれ落ちる感情の生々しさを感じたからかも知れません。

 

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少し飛躍しているかも知れませんが、身体から離れて抽出された言葉の繰り返しの中に精気が宿っているように思えます。

それはストリートっぽい雰囲気と対照的な印象で、その二面性が面白いと感じました。

 

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author:きちきち, category:ギャラリー, 17:57
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長谷良樹 個展「DESSIN」

KANA KAWANISHI GALLERY(東京都江東区白河)

会期:2019年6月1日(土)〜7月6日(土)

 

「DESSIN」は風景の中にカーテンのような構造物を設置して撮影された写真シリーズ。

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糸の集合体で出来たカーテンが強い風をいっぱいに受けて船の帆のように膨らむ様子を見ていると、ほんの一瞬、その場所の空気の圧力が身体を通り抜けていく感じがしました。

カーテンの色が晴れた空によく映えて、その色彩は印象派の絵画を連想させます。

 

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立方体の雲が浮かぶ風景は現実と幻想の狭間のような世界。

 

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風景に加えられた構造物によって、その場所が別の時間と空間を伴った表情で立ち現れる感じがします。

頭の中で写真と風景画のイメージが二重写しになって、何処かにありそうで何処にもない、独特の風景を見ている気持ちになりました。不思議で魅力的な作品です。

author:きちきち, category:ギャラリー, 19:10
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Meet the Collection ―アートと人と、美術館

横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい)

会期:2019年4月13日(土)〜6月23日(日)

 

開館30周年記念の企画展。全展示室を使った大規模なコレクション展です。

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第1部「LIFE:生命のいとなみ」第2部「WORLD:世界のかたち」の2部構成、全7章で400点を超える作品が展示されています。

 

4名のゲスト・アーティストを迎え、アーティストとコレクションの出会いによって生み出された展示空間が注目です。

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エントランスで来館者を出迎えるのは淺井裕介+共同制作参加者64名による作品、

「種を食べた獣(またの名を宇宙クッキー)」

 

↓2階からはこのように見えます。

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第1部「LIFE:生命のいとなみ」

「いのちの木」

ゲスト・アーティスト淺井裕介による壁面全体に描かれた作品と共に、植物、動物、神話、夢といったキーワードと呼応する所蔵作品が展示されています。

自然の土を素材にした色はすごく独特で、何色と表現していいか分からない複雑で微妙な色合いに惹かれます。

展示室全体を埋め尽くす生き物や植物に囲まれていると、生命の根源にある柔らかい熱に包み込まれるような雰囲気を感じます。

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第2部「WORLD:世界のかたち」

「イメージをつなぐ」

ゲスト・アーティスト今津景の作品とシュルレアリスムの作品が出会う空間。

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今津 景「Repatriation」は文化財の返還問題をテーマにした作品。 

 

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コレクションの選定や展示の仕方がとても興味深くて、面白い空間でした。

 

「モノからはじめる」

ゲスト・アーティスト菅 木志雄の「放囲空」は数十個の石を方形に並べたインスタレーション作品。

何故かはわからないけれど、石の隣接する部分に目を引かれる。張り詰めた緊張を感じる作品。

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菅 木志雄「環空立」

1999年に横浜美術館で開催された個展で発表された作品が再展示されています。

展示室の内外をぐるっと巡るように構築された規模の大きな作品は圧巻です。

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ゲスト・アーティストを迎えることでコレクションに新しい視点が加わり、コレクションの見せ方を新しく更新していく、アップデートしている感じがしました。

その中にコレクションをしっかり見せる空間もあって、最後まで興味深く楽しめる展示でした。

author:きちきち, category:美術館, 15:55
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【再訪】百年の編み手たち ―流動する日本の近現代美術―

東京都現代美術館(東京都江東区三好)

会期:2019年3月29日(金)〜6月16日(日)

 

東京都現代美術館のリニューアルオープン記念展、2回目の訪問です。

(関連記事:百年の編み手たち ―流動する日本の近現代美術―

今回は中盤以降の作品を改めて鑑賞しました。

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2回の訪問でやっと展示全体を見たという手ごたえを感じました。それくらい出展作家・作品数が多い展示です。

 

個展やグループ展を観て知っている作家でも、この規模の中で見ると作品の印象が少し変わると思いました。

それぞれの作品が発する強烈な個性をすべて整理して受け止めるのは到底無理で、自分が情報過多になって軽い混乱状態になっていたのかもしれません。

 

以下、印象に残った作家や作品についてのメモ書きです。

(作家名後のカッコ内は生没年)

 

《1章 はじまりとしての1914年》

 岸田 劉生(1891〜1929) 

 「慾望」 エッチング 1914年

 「石を噛む人」 エッチング 1914年

 「怒れるアダム」 エッチング 1914年

  →銅版画作品の描画表現に興味を惹かれる

 

《2章 震災の前と後》

 恩地 孝四郎(1891〜1955)

 

 吉田 博(1876-1950)

 「帆船」 1926年 木版

  →抒情的な雰囲気がいい。伝統的な木版画の高度な技術に圧倒される。

 

《3章 リアルのゆくえ》

 桂 ゆき(1913-1991)

 「切り株」1937年

 「鶏」1935年

 「りんごと蝶」1955年頃

  →漆、卵の殻、布など絵具以外の素材を使う。コラージュの使い方が面白い。

 ※4章にも出展作品あり

 

 「新東京百景」1923-32

  8名の版画家が東京をテーマに制作した木版 100点のシリーズ作品

東京駅、丸の内、二重橋、帝国議事堂、日比谷音楽堂、数寄屋橋、歌舞伎座夜景、築地、月島、京橋、水上公園(台場)、日本橋、江戸橋、デパートの内部、地下鉄、明治座、清洲橋、柳橋夜景、深川木場、錦糸公園、向島、新荒川、浅草仲見世、新上野駅、上野公園、帝大講堂、牛込見附、早稲田大学講堂、明治神宮、神宮球場早慶戦、青山墓地、井の頭公園などが描かれている。

→橋や川の風景が多く、東京が水の都市であることが思い起こされる。

 

 駒井 哲郎(1920-1976)

 「ラーマーヤナ」1948年頃 木版画

  →駒井の数少ない木版画。インドの叙事詩を子供向けに翻訳したもの。

 

 中原 實(1893-1990)

 「多感」1949年

 「杉の子」1947年

 「兜の昇天」1948年

 「丘」1949年

→2章でも出展していて所蔵作品数が多い印象。表現スタイルが多様で掴みきれないところに興味が湧く。

 

 浜田知明(1927-2018)

  銅版画、エッチング

 

《5章 アンフォルメルとの距離》

 吉原 治良(1905-1972)
 「作品」1962 油彩/カンヴァス

 

 今井 俊満(1928-2002)
 「鯉のぼり」1962 油彩/カンヴァス

 

 白髪 一雄(1924-2008)

 

 中西 夏之(1935-2016)

 「韻」1959年 ラッカー、エナメル、砂/合板

  →その他、洗濯バサミを使った作品

 

《6章 光を捉える》

 多田 美波(1924-2014)

 「Phase Space 6941」1969年 アクリル樹脂、アルミニウム、鋼鉄、モーター

→アルミニウムの表面に写る自分を含めた展示室の像が揺らめく(歪む?)

 

《7章 イメージを編む》

 アンディ・ウォーホル(1928-1987)
 「マリリン・モンロー」1967年 シルクスクリーン

 

 横尾 忠則(1936-)

 1960年代の演劇のポスター(シルクスクリーン)

→初めて作品を見た。名前はよく知られているけれど、作品を見る機会が少ない気がする。

 

 柏原 えつとむ((1941-)

 「方法のモンロー」1972-75年 ミクストメディア/紙

  →プロジェクトの工程そのものが作品化していて面白い。

 

《8章 言葉と物による再編》

 三島 喜美代(1932-)

 「Package 82-A」 1982年 陶土

 

 田中 千鶴子(1946-)

 「卵(作品A,B)」 1977年 ブロンズ、ガラス、鉄、アルミニウム

 

《11章 日本と普遍》〜《14章 流動する現在》

 福田 美蘭(1963-)

 「Portrait」1997 アクリル/シェイプドカンヴァス

 「Landscape」1997年 アクリル/パネル

→一見西洋の伝統的な肖像画や風景画のように見えるけれど、何か違った雰囲気を持っている。

 

 大竹 伸朗(1955-)
 「ゴミ男」1987年


 小沢 剛(1965-)
 「地蔵建立」1989年 発色現像方式印刷
  →1989年 天安門から始まるシリーズ作品。

1992年 板門店、1993年 チベット砂漠、1995年 富士山、1995年 上九一色村、1995年 土佐


 柳 幸典(1959-)

 「トーキョー・ダイアグラム H'6」1994年 アクリル/紙(12点組)


 照屋 勇賢(1973-)
 「Notice-Forest:Madison Avenue」2011年 紙袋、糊

→マクドナルドの紙袋の一部を切り抜いて樹木を形作っている。開いた状態の紙袋を覗き込むと中に紙でできた樹木が立っている。樹木の繊細な様子が印象的。


 伊藤 存(1971-)
  刺繍の作品。動物の姿が描かれている。他の作品も見てみたい。

 

 松江 泰治(1963-)

  写真と映像作品。特に映像はずっと見続けてしまう不思議な引力を感じる。

 

この他にも気になる作家が沢山いて、もっと作品を見たい・知りたいという意欲が湧き、近現代美術への興味がさらに深まる鑑賞となりました。

author:きちきち, category:美術館, 16:08
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マンゴ・トムソン「Rods and Cones」

MASAHIRO MAKI GALLERY(東京都渋谷区神宮前)

会期:2019年5月24日(金)〜6月29日(土)

 

アメリカ ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、Mungo Thomson (マンゴ・トムソン)の日本初個展。

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タイトルの「Rods and Cones」とは目の網膜にある視細胞のこと。

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オフセット印刷の基本4色(シアン・マゼンダ・イエロー・ブラック)のドットがパネルに整然と配置されていていますが、ドットのサイズが大きくて全体を把握するのが難しく、一体なにが描かれているのか、そこにあるはずの形象が見えるようで見えないモヤモヤを感じました。

実物を見ている見え方はこんな感じです。

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展示室の入口に「写真OK」とあったので、写真を撮ろうとしてスマホの画面越しに作品をみて「はっ」としました。

スマホを通して作品を見ると、画質が粗めの広告が見えています。

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事前にあまり情報を入れない状態で見ていたので完全に意表を突かれてびっくりしてしまいました。

謎が解けて一気に作品と距離が縮まった気がします。

そんな驚きを経験して、スマホで写真を撮るのが当たり前の日常を生きているうちに「自分の目で見ているもの」と「スマホを通して見ているもの」の違いに鈍感になっていることに気づきました。

 

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作品の前に立って自分の目で見ているとやはりドットの存在感が圧倒的で、スマホで撮った写真と同じものは「見えない」ことを実感します。

それは視覚の不思議さであったり、皮肉なことでもあるなと思いました。

 

こんな風に驚くのも久しぶりで、発見や考えることもあって充実した鑑賞になりました。

author:きちきち, category:ギャラリー, 22:48
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百年の編み手たち ―流動する日本の近現代美術―

東京都現代美術館(東京都江東区三好)

会期:2019年3月29日(金)〜6月16日(日)

 

3年にわたる休館を経て、2019年3月29日にリニューアルオープンした東京都現代美術館。

 

3フロア全体を使って行われている企画展は、1910年から現在までおよそ100年間の日本美術を総覧できる内容で、近現代美術についてまだまだ知らないことが多い自分にはとても勉強になり、有意義な時間を過ごせました。

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展示は14章という長大な構成になっていて、全部をじっくり見るのは相当エネルギーが必要です。2回くらい足を運ぶ必要があるかなと思いました。

気になった作家や作品をメモしつつ鑑賞していたら、8章あたりで頭がパンパンになり力尽きました。。。後半は許容量オーバー状態で観るのが精いっぱい。

もうひとつの展示「MOTコレクション ただいま/はじめまして」も断念して退散となりました。

 

もう一度訪れて9章以降を改めてじっくりと、そしてコレクション展も観たいと思います。

author:きちきち, category:美術館, 22:07
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六本木クロッシング2019展:つないでみる

森美術館(東京都港区六本木)

会期:2019年2月9日(土)〜5月26日(日)

 

「六本木クロッシング」は2004年以来3年に1度、森美術館が開催している現代アートのシリーズ展。

1970年代〜80年代生まれを中心とした日本のアーティスト25組が出展しています。

 

その中で特に印象に残った作品を挙げたいと思います。

 

目《景体》

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一番インパクトがあったのは、現代芸術活動チーム【目】(中心メンバーは荒神明香、南川憲二、増井宏文の3名)の作品。

黒い水のうねりを前にしていきなり心に湧き上がったのは、「不気味さ」と「畏敬の念」が混じった複雑な感情でした。「恐怖」とも言える感情ですが、不快な感じはありません。

とにかく、心にずしんと響く作品でした。

 

青野文昭《なおす・代用・合体・連置―ベンツの復元から―東京/宮城(奥松島・里浜貝塚の傍らに埋まる車より)2018》

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車と家具が不思議に融合した作品。何とも言えない一体感が面白いです。

裏側(内側?)には人の姿が。缶や本など、色々な廃棄物が使われています。

 

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人とのつながりを失い廃棄されたモノには抜け殻のような空疎なイメージがありますが、それらを融合させて新しいカタチを提示しているこの作品には不思議と人の気配のようなものを感じます。

 

佐藤雅晴《Calling》

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24のシーンからなる映像作品。

エレベーターや電話ボックス、駅のホームなど日常的な場所で鳴り続ける携帯電話や固定電話。ただしそこに人の姿はありません。

日常空間が奇妙な歪みを伴った場所に変化する、見ていると心がザワザワする作品。

 

万代洋輔 《無題》(「蓋の穴」シリーズより)

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不法投棄されたゴミを拾い、それを素材として被写体を制作して撮影する。深夜から早朝にかけて行われるという一連の過程から生まれたシリーズ。

静かな佇まいでこちらをじっと見つめている何者かがいるようで、一瞬ドキッとします。

見てはいけないものを偶然見てしまった時に感じる戸惑いの気持ちを思いだしました。

 

その他気になったのは、平川紀道、毒山凡太郎、前田征紀、川久保ジョイの作品。

 

面白いと感じる作品が多くて、満足度が高い展示でした。

ここで見て気になった作家の作品は今後もチェックしていきたいと思います。

 

※掲載している写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています。

author:きちきち, category:美術館, 14:49
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